この地域は、駅近であるがバブル期の時代を超えても小規模な店舗併用住宅が多く、最近では今の世相を反映して、空家・空きビルが増え、街中の空洞化が顕著にみられる場所である。そんな中この計画は、単なる事務所併用住宅でなく、地方の市街地への棲み方を問いている。

　通りに面している建物北側は、1,2階の建物内外に、街に開放するオープンスペースを設けある。そして、1階の駐車スペース、2階の事務所、3階の住宅部分を、外部の吹抜け空間『ヴォイド』＝バッファーゾーンでつなぐことで、住宅部分プライバシーを守りつつ、また、オフィスの外的影響を抑えつつ、緩やかに街につながっていくことができている。

　地域に開放されているオープンスペースは、学生や地域の人々が集っているようで、まちに賑わいを取り戻すきっかけとなっている。また、大きなガラススクリーンで人の居場所を可視化することが、地方都市の活性化へみちびいてくれる。