石灰石の家 〜ポストモダン建築〜

 既存の建物は、和庭園を全面とし夏の避暑地的な数寄屋造りの建物であるが、奥様の洋館への想いから、ファサードは明治初期の洋館をイメージした建物に。内部空間は、あまり華美になることなく落着きを表現した。現代建築に歴史的様式のデフォルメによるスクラップを施し、円と円弧を利用するポストモダン的な建物である。

 外壁には、RC躯体の上にグラスウールによる外断熱を施し、通気層を設けてライムストーン(石灰石)を乾式工法で貼った。

 大きなエントランスを吹き抜けとし、コレクションの美術品を飾れるよう展示スペースを設けた。また、新しい応接間と既存のリビングを結ぶ廊下には、飾り棚とその反対側の窓外に水庭を配置した。

 外構計画には、和風の門の脇に、車の出入りの可能な大きな鉄扉門を設け、その周りを緑で飾った。白樺の木が立ち並ぶ石畳みのアプローチには、先代から伝わるライオンの水口から小川が流れ、水の音色がここちよい。

 石灰石の白壁の家は、時の流れとともにたくさんの表情を表現しつつ、これからも家族にゆらぎのある時間を与えてくれるであろう。

竣工 2008
所在地 tochigi sano
構造 RC2f
面積 389.07㎡
構造設計 新設計事務所
設備設計 石井設備設計