榛風寮 〜これからの社員寮:日新電機〜

 本計画は、既存にある社員寮の建替えの計画である。敷地は3880㎡と広く、東西に長い形状とすることで、全個室(30室)を南に面することが可能になり、敷地条件にもうまくマッチした。

 玄関の東側には、食堂、研修室、浴室等の共用部分を設け、円形の壁面やガラスブロックを使用することで建物のファサードを飾った。個室は、1階に10部屋、2階に20部屋、各15.6㎡の広さを設けた。各階には珪藻土の壁で調湿と消臭対策を施した洗濯室と物干し場を設けたため、安心して洗濯が行える。また建物外壁の南面には、設備配管の目隠しに縦ルーバーを窓間に均等に配置して、単調になりがちな南壁面の最大のポイントとした。

 全体の色調は、白と黒を中心にポイント的に落ち着きのあるウォールナット系の木目の色を使用した。個室の床のフローリングについては、耐久性と堅牢性の観点からも検討し、ローコストでありながら木を感じられる材質のものを選定した。木材部分に施す塗料も自然塗料を設け、より『家』に近い感じを感じとってもらえればいい。

 また、会社が電気機器メーカーであること、環境社会への取り組みや火の気のない安心な寮という観点から、オール電化にして高効率な給湯機、電化厨房を設置した。照明も常夜灯部分にはLED照明、その他部分も蛍光灯型照明を分散型配置とした。

 建物の北側には、元からあったシンボルである桜の木を3本残すことができた。来春にはこの桜を囲んで、寮生と近隣の方々との、楽しい宴(うたげ)なんてあったらいいなあと思っている。また、敷地へのアプローチ部分にどんと構えるイチョウの木が、今は強く選定されているが、来年の秋にはまた大きな黄色い葉っぱでいっぱいになることであろう。その時が、本建物が本当に完成された時である。

竣工 2009
所在地 gunma maebashi
構造 S2f
面積 1092.85㎡ 
構造設計 萩原構造計画事務所
設備設計 アーク環境設計