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榛風寮 〜これからの社員寮:日新電機〜

2009 gunma maebashi S2f 1092.85㎡  構造設計:萩原構造計画事務所  設備設計:アーク環境設計

 本計画は、既存にある社員寮の建替えの計画である。旧建物は3階建てのRC造で、古いながら細かなディテールにこだわりを感じる建物であった。新建物では都市計画の指導より鉄骨造の2階建てとして進めるとなった。
 敷地は3880㎡と広く、正方形に近い形状であり、既存建物が南側に建っていることから、工事中は既存建物を残して、その北側に計画する形とした。新建物を東西に長い形状とすることで、全個室(30室)を南に面することが可能になり、敷地条件からもうまくマッチした形となった。敷地は北東からのアプローチとなるので、建物に訪れる人に対してのファサードは北であり、旧建物を解体した敷地の南半分は、寮生の駐車場となった。

 しかしながら、その結果、敷地が建物によって、完全に2分化されることを、如何に解消するかが必要となった。寮生が通う会社はこの敷地から近くにあり、自転車または徒歩での通勤も可能な場所であるため、寮生は徒歩で帰宅するときは北側のアプローチが考えられ、逆に休日とかに出かけたときは車での帰宅で南側のアプローチが考えられた。玄関が北と南に必要になりその解答として、玄関とそこに寮生が談話できるスペースを建物中央に設け、南北に面する形をとった。そして、そこにはコンクリートの打ち放しの壁が突き刺さるようにを斜めに配置され、そのコンクリート壁が人を玄関に導く形となっている。
コンクリート打ち放しの壁は、既存建物も多用されていたもので、古きを忘れることなく、建物のアクセントとして利用したものでもある。また、玄関の東側を食堂、研修室、浴室等の共用部分を設け、円形の壁面やガラスブロックを使用することで建物のファサードを飾った。個室(寮室)は、1階の西側の半分に10部屋、2階のすべてに20部屋を設け、15.6㎡の広さを設けた。各階に洗濯室と物干し場を設け、寮生の方々が、雨を心配して洗濯物を部屋に干すのではなく、珪藻土の壁で、調湿と消臭対策を施した専用の室内空間を造った。
 また建物外壁面には再生木材を利用したルーバーを設けた。北側には設備機器の目隠しを兼ねて横ルーバーとし、南面には設備配管の目隠しに縦ルーバーを窓間に均等に配置して、単調になりがちな南壁面の最大のポイントとした。
 建物の全体の色調は、白と黒を中心にポイント的に落ち着きのあるウォールナット系の木目の色を使用した。個室の床のフローリングについては、耐久性と堅牢性の観点からも検討し、ローコストでありながら木を感じられる材質のものを選定した。木材部分に施す塗料も自然塗料を設け、より『家』に近い感じを感じとってもらえればいい。
 また、会社が電気機器メーカーであることと、環境社会への取り組み、火の気のない安心な寮という観点から、社員寮としては、先進的なオール電化の建物とし、高効率な給湯機、電化厨房を設置した。照明計画にとしても、常夜灯部分にはLED照明、その他部分も蛍光灯型照明を分散型配置とした。夜の外灯から浮かび上がる建物は、近隣の方にも楽しんで頂きたい。

 建物の北側には、元からあった桜の木を3本残すことができた、その廻りは、舗装されることなく整地されている。桜の木はこの建物のシンボルである。来春にはこの桜を囲んで、寮生と近隣の方々との、楽しい宴(うたげ)なんてあったらいいなあと思っている。また、敷地へのアプローチ部分にどんと構えるイチョウの木が、今は強く選定されているが、来年の秋にはまた大きな黄色い葉っぱでいっぱいになることであろう。その時が、本建物が本当に完成された時である。